1このアクションの概要 — ドンクとは何か
ドンクベットとは:
プリフロップ AC(アグレッサー)は IP 側(BTN や LJ)であり、本来はフロップの主導権を持つ。にもかかわらず、OOP 側(BB や SB)が チェックせずに最初にベットする行為がドンクベット。標準セオリーでは「ドンクは弱い」とされるが、GTO ではレンジ・ポジション・ボードによって頻度が大きく異なる。
最重要テーゼ:BB ドンク vs SB ドンクは別物
BB は常に 3〜4%前後しかドンクしない(超選択的)。主役は Low Connected ボードのみ。
SB vs BTN は 平均20%以上(BB の5〜7倍!)。高ボード・広範囲のカテゴリでドンクが発火。
「SB ドンクは別の戦略武器」と理解することが第一歩。
4スポットの基本構造
BB ドンク(2スポット)
BB vs BTN / BB vs LJ
3〜5%
超選択的。Low Connected ボード(765r, 654r など)にほぼ限定。
浅くなると頻度はさらに下がる傾向。
IP のレンジ幅(BTN > LJ)の影響で vs LJ の方がやや高め。
SB ドンク(2スポット)
SB vs BTN / SB vs LJ
8〜23%
SB vs BTN は全深度平均20%超の高頻度ドンク。
SB vs LJ は 7〜10%(中間的)。深度によって主役ボードが逆転。
SB は BB より OOP 度が強く、セオリーを破るドンクが多い。
なぜ SB は BB よりドンクが多いのか?
SB の IP コールはさらに不利なポジション(BTN がいつも後ろ)。
SB のレンジはしばしば BB より弱く、チェックしてしまうとチェックレイズ機会も限られる。
その結果、ドンクによって IP の CB を止め、ポット成長を制御する戦略的価値が BB より高くなる。
24スポット比較表 — 全体ドンク率
全体平均ドンク率(5深度)
| スポット |
40BB |
35BB |
30BB |
25BB |
20BB |
特徴 |
| BB Donk vs BTN |
3.5% |
3.1% |
3.6% |
2.5% |
3.1% |
超低頻度 |
| BB Donk vs LJ |
4.5% |
4.6% |
4.6% |
2.4% |
2.6% |
低頻度 |
| SB Donk vs LJ |
7.6% |
7.6% |
7.7% |
5.4% |
9.6% |
中頻度 |
| SB Donk vs BTN |
20.1% |
16.7% |
18.8% |
21.6% |
23.3% |
高頻度 |
≥5% ドンクボード数(全 99 ボード中)
| スポット |
40BB |
35BB |
30BB |
25BB |
20BB |
| BB Donk vs BTN |
14枚 |
13枚 |
14枚 |
11枚 |
12枚 |
| BB Donk vs LJ |
11枚 |
10枚 |
10枚 |
13枚 |
17枚 |
| SB Donk vs LJ |
22枚 |
23枚 |
24枚 |
27枚 |
35枚 |
| SB Donk vs BTN |
70枚 |
62枚 |
64枚 |
62枚 |
59枚 |
SB vs BTN の圧倒性: 99ボード中70枚(40BB時点)で5%以上ドンク。
対して BB は14枚のみ。SB vs BTN のドンクは「全ボードにほぼ存在する」ストラテジーであることが数字に現れている。
3BB ドンク詳細 — Low Connected 専門の構造
BB ドンクの本質: Low Connected ボードにほぼ特化した超選択的アクション。
「ドンクしないのがデフォルト」であり、低い連結系ボードでだけ例外的に発動するイメージ。
BB Donk vs BTN — カテゴリ別(40BB)
BB Donk vs LJ — カテゴリ別(40BB)
vs BTN と vs LJ の最大の違い:Low_Conn 頻度
vs BTN では 33%、vs LJ では 61%! 同じ Low Connected ボードでも LJ のレンジが弱いため、BB のレンジアドバンテージが強く出る。
LJ はタイトレンジ(約22〜23%)なので低連結ボードはフィットしにくく、BB がドンクで積極的にポットを主張できる。
深度別変化(Low_Conn と Low_Mono_Conn)
| カテゴリ |
40BB |
35BB |
30BB |
25BB |
20BB |
トレンド |
| BB vs BTN — Low_Conn |
33% |
31% |
37% |
25% |
33% |
微減→横ばい |
| BB vs BTN — Low_Mono_Conn |
24% |
21% |
23% |
2% |
1% |
浅くなると消滅! |
| BB vs LJ — Low_Conn |
61% |
61% |
60% |
28% |
29% |
25BBで急減 |
| BB vs LJ — Low_Mono_Conn |
16% |
22% |
29% |
1% |
0% |
浅くなると消滅! |
Low_Mono_Conn が消える理由:
モノトーン低連結ボード(e.g. 7♠6♠5♠)は深いスタックではドンクでセミブラフが有効。
しかしスタックが浅くなると「コールもしくはオールインしかない」状況でドンクのブラフ効果が薄れる。
25BB以下では Mono_Conn ドンクはほぼゼロ。
Top ドンクボード(20BB時点)
4SB ドンク詳細 — 高ボードドンクの驚異
SB vs BTN:全ボードにドンクが広がる驚異的な頻度
40BBで全99枚中70枚以上(>70%!)が5%以上のドンク率。
このスポットは「特定ボードにだけドンク」ではなく、ほぼ全ボードタイプに分散したドンク戦略が存在する。
SB vs BTN — カテゴリ別ドンク率(全5深度)
High_Paired(25枚)
AA2, KK3等
SB vs BTN の20BB 注目ポイント:
King_High が 68% まで急増。Low_Conn が復活(9%)するなど、20BBでは戦略構造が大きく変化。
これは「スタックが浅いと SB が King 系で積極的にドンクしてポットを争う」という深度依存の戦略変化を意味する。
Top ドンクボード(20BB時点)
SB vs LJ(20BB)— KQJ系+Low Conn
SB vs LJ カテゴリ別深度変化
| カテゴリ |
40BB |
35BB |
30BB |
25BB |
20BB |
傾向 |
| Low_Conn |
68% |
66% |
64% |
33% |
29% |
深い時が主役 |
| Low_Mono_Conn |
62% |
65% |
63% |
24% |
7% |
浅くなると急減 |
| King_High |
1% |
1% |
1% |
6% |
16% |
20BBで急増 |
| High_Conn |
1% |
1% |
3% |
7% |
17% |
浅くなると増加 |
| High_Mono_Conn |
2% |
1% |
1% |
4% |
14% |
浅くなると増加 |
| Queen_High |
0% |
0% |
0% |
1% |
12% |
20BBのみ |
| Mid_Conn |
7% |
5% |
6% |
8% |
17% |
緩やかに増加 |
5深度別変化パターン — Low Connected vs 高ボードの逆転
最重要パターン:深度によって主役ボードが逆転する
全スポット共通の法則として「Low Connected ドンクは深い方が高く、高ボード(King High / High Conn)系は浅くなると増加する」という逆転が観察される。
パターン A:Low Connected — 深い方が強い
BB vs LJ — Low_Conn ドンク率の推移
なぜ Low Connected は深い方が強いのか?
Low Connected ボードでドンクする理由の多くは「セミブラフ(ストレートドロー保護)」と「ポット制御」。
スタックが深いほど後のストリートでのバーンを見越したセミブラフの価値が高く、ポットを膨らませる意義も大きい。
浅くなるとドロー価値が下がり、オールインまでのステップも減るため、ドンクの戦略的価値が薄れる。
パターン B:King High / High Conn — 浅くなると急増
SB vs BTN — King_High ドンク率の推移
なぜ King High / High Conn は浅くなると増加するのか?
スタックが浅いと「チェックして相手の CB に直面する」よりも「ドンクでポットを取りに行く」方が有利になる場面が増える。
King High ボードでは SB がキングをヒットしている場合に「チェックレイズをするほどスタックがない→ドンクで値取り」するパターンが増加。
また 20BB 前後では「オールインまでのアクションを最小化したい」心理もドンク選択を後押しする。
深度パターンまとめ
| ボードタイプ |
深い(40BB) |
浅い(20BB) |
パターン |
代表スポット |
| Low Connected |
高い |
低い |
深い方が強い |
BB vs LJ (61→29%), SB vs LJ (68→29%) |
| Low Mono Connected |
高い |
消滅 |
浅くなると消える |
BB vs BTN (24→1%), SB vs LJ (62→7%) |
| King High |
低め |
急増 |
20BBで爆発 |
SB vs BTN (30→68%), SB vs LJ (1→16%) |
| High Conn |
低め |
増加 |
浅くなると伸びる |
SB vs BTN (13→39%), SB vs LJ (1→17%) |
| High Paired |
安定 |
安定 |
深度によらず一定 |
SB vs BTN (25→24%) |
6IP 側のカウンター示唆 — ドンクが来たら何を意味するか
前提:ドンクが来た時点で「誰からどのボードで」を即座に判断する
BB からのドンクと SB からのドンクはレンジ意味が全く異なる。同じ「ドンク」でも反応は変わる。
BB ドンクが来た時(IP = BTN or LJ)
-
Low Connected ボード(765r, 654r 等):
BBのドンクは 強い。ストレート・セミブラフが多数。レイズは危険。通常コール検討。
-
Low Mono Connected ボード(深いスタック):
フラッシュドロー + ストレートドロー のセミブラフ。コールして後ろのストリートで判断。
-
High Board / King High / Ace High:
BBが High ボードでドンクすることはほぼない(<5%)。来たら非常に強い(2ペア以上)。
レイズより降りるかコールが標準。
-
Low Mono(浅いスタック 25BB以下):
BBがドンクすること自体が珍しい。来た場合は本物のメイドハンドが多い。注意。
SB ドンクが来た時(IP = BTN or LJ)
-
vs BTN — ほぼ全ボード(深い):
ドンク率が20%超なので「来ること自体は普通」。レンジは広い。弱いハンドも多数含む。積極的レイズ検討の価値がある。
-
vs BTN — King High(20BB):
68% ドンクは SB のレンジ全体が反映。K ヒットからブラフまで広く含む。
IP は KX を持つ時に積極的にレイズ。
-
vs BTN — High Conn(20BB):
QJT, JT9 等でドンク39%。SB に QJ, JT 等の連結ハンドが多い。値取りとブラフが混在。コールでエクイティキープが基本。
-
vs LJ — Low Connected(深い):
SB vs LJ は Low Conn で 68% ドンク。BB ドンクと同様の性質。ストレートドロー系が主役。レイズは慎重に。
実戦での最重要判断軸:
1. SB or BB ? → SB なら高頻度ドンクが普通(ブラフ多い)、BB なら超選択的(強めが多い)
2. ボードタイプ? → Low Connected ならドロー系中心、High Board(King/Ace/QJT 等)なら SB のみ発動
3. 深度? → 20BB は King High ドンクが激増。40BB 以上は Low Conn / Mono が主役
7意思決定フロー — BB/SB それぞれの実戦判断
BB のフロップ意思決定フロー
フロップを見る
ボードタイプを即座に分類
↓
分岐1
Low Connected (765r, 654r, 876r 等)?
↓ YES
ドンクを検討(33〜61%)
vs LJ の方が高頻度。スタック深いほど有効。ストレートドロー・2ペアで実行。
↓ NO
分岐2
Low Mono Connected (765♠ 等)?
↓ YES(40-30BBのみ)
ドンク検討(16〜29%)
フラッシュ+ストレードロー保護。25BB以下はほぼチェック。
↓ その他ボード
チェックが基本(ドンク率 <5%)
High Board, Ace High, Paired 等はほぼドンクしない。通常のチェック&コール/レイズへ。
SB のフロップ意思決定フロー(vs BTN)
フロップを見る
SB vs BTN は広くドンク可能。まずカテゴリを確認。
↓
分岐1
スタック深度 ≥30BB?
↓ YES(深い)
Low Conn / Mono が主役(40〜46%)
Deep は Low Connected を積極ドンク。High Conn・King High も20〜30%で検討。
↓ NO(浅い 20-25BB)
分岐2
King High / High Conn ボード?
↓ YES
ドンク率急増!(King High 68%, High Conn 39%)
20BB では King High を積極ドンク。KX ヒット・ブラフ含む広いレンジで実行。
↓ Low Conn系(浅い)
Low Conn ドンクは減少(2〜9%)
浅いと Low Conn ドンクは控える。チェック→相手の行動を見て判断。
実戦チェックリスト(OOP プレイヤー向け)
- 自分のポジション(BB か SB か)を確認 → SB は広くドンク可能
- ボードを Low Connected / Mono / High の3分類に即分類
- スタック深度を確認 → 30BB以上と 20BB以下でドンクの主役ボードが逆転
- BB なら「Low Conn 以外はほぼチェック」を原則として覚える
- SB vs BTN なら「ほぼ全ボードにドンク候補が存在する」と意識する
- 20BB の SB vs BTN では King High・QJT 系のドンクを積極活用